痛みには種類がある?痛みの症状と対処について
こんにちは、天6整形外科理学療法士の二宮です!
いよいよ8月に入り、当院も開院から3ヶ月が経過しました。
たくさんの良い評判を頂いており、喜ばしい日々を送っております。
さて、今回のコラムでは、整形外科での相談内容の主となる「痛み」についてお話していきます。
様々な原因による痛み、そして痛みへの対処についてお話をしていきます。
今現在腰痛などに代表される痛みによるお悩みを抱えている方、痛みが原因での当院受診を考えている方は是非ご参考にしてください。
ちなみに身体の部位における痛み・整形疾患についてはこちらからご覧ください。
今回のお品書きは以下の通りです。じっくり読みたい方は最初から、ざっくり知りたい方はまとめから、読み返しの方は気になる部分からお読みください!
目次
痛みとは?
そもそも私達人間にとって「痛み」とはなんなのでしょうか?
痛みとは、医療用語としては「疼痛」と表記しますが、基本的には自身の身体の不調のサイン、つまり危険信号だったりします。
皆さんは、身体のどこも痛くないのに、整形外科を受診しますか?しませんよね?
このように、私達人間は「痛み」を感じることで、身体に何らかの異常や異変が生じていることに気づきます。
仮に「痛い」という感覚がなかったら、身体に起きている異常や異変などの危険に気づくことがないまま生活をしてしまい、ケガや病気を繰り返したり、命が危険に陥ることもあるでしょう。
このように、「痛み」は本来、私たちの身体や命を守る、生命活動に欠かせない役割を持っています。
しかし、痛みにも種類があり、なかには「生命活動に必要ではない痛み」もあります。
必要以上に長く続く痛みや、原因がわからない痛みは、大きなストレスになり、不眠やうつ病など、ほかの病気を引き起こすきっかけにもなります。このような場合は「痛み」そのものが、治療が必要な病気とも言えるのです。
それでは、次は痛みの種類について見ていきましょう。
痛みの種類
痛みは大きく分けて傷や火傷が原因の痛み、神経が傷ついたり圧迫されたりして起きる痛み、そしてストレスや不安により感じてしまう痛みといった3種類に分けられます。
- 侵害受容性疼痛
- 神経障害性疼痛
- 心因性疼痛
それぞれが全く違う機序(原因)であり、全く違う症状を持っています。それでは、それぞれ詳しく見てみましょう。
1.侵害受容性疼痛
侵害受容性疼痛とは、末梢の侵害受容器が、熱や機械刺激によって活性化されて生じる痛みのことです。
つまり、打撲や骨折、切り傷、やけどなどのケガが生じた部分に発生する痛みのことですね。
この痛みの特徴としては、ケガをした部分にプロスタグランジンやブラジキニンなどの痛みを出してしまう物質の発現がみられ,この物質が末梢神経にある「侵害受容器」という部分を刺激することで痛みを感じます。こういった機序からこの痛みは「侵害受容性疼痛」と呼ばれています。
重くズーンとした痛み方が特徴で、一部の頭痛や歯痛、関節リウマチや肩・肘・股関節・膝などの変形性関節症の痛みなどもこれに該当します。
2.神経障害性疼痛
神経障害性疼痛とは、何らかの原因により神経が障害され、それによって起こる痛みのことを言います。
具体的には、帯状疱疹が治った後の長引く痛みや、糖尿病の合併症に伴う痛み、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による坐骨神経痛、頚椎症に伴う痛みなどがあります。
侵害受容性疼痛のように傷や炎症など明確な原因が見えないにもかかわらず痛みがある場合には、神経が原因となっていることがあります。40代以上に多く、日本では約660万人以上の患者さんがいると推定されています。
3.心因性疼痛
心因性疼痛とは、仕事や日常生活の中において、慢性的もしくは強いストレスを蓄積することで生じる身体の痛みを指します。
不安やイライラなどの心理状態が、無意識下でこれらと向き合うことを避けるために身体の特定部位に虚血状態(血流の滞り)を発生させ、痛みを引き起こすとされています。天気や季節による痛みも心因性疼痛にあたるとされます。
心因性疼痛はおもに、自律神経やホルモンバランス、免疫系に不調をきたすことで痛みが生じます。この痛みや不快感によって、それがさらにストレスを引き起こし、抑うつ(うつ病)となるケースも少なくありません。
以上のように、痛みは大きく3種類に分けられます。
上記のように痛みは種類によってその機序(原因)が全く違います。
自分の感じている痛みの原因がなにかを把握することが、適切な対処に繋がります。
それでは、次はそれぞれの痛みの対処方法について見ていきましょう。
痛みの対処法
前項では、痛みの種類とその主な原因について見ていきました。
痛みは種類ごとに生じた機序(原因)が違いますので、もちろん対処方法も種類ごとに変わってきます。
この項では、それぞれの痛みの対処法について見ていきます。
1.侵害受容性疼痛の対処法
ほとんどの場合が急性に生じた痛みで、一般的な鎮痛薬が効果を示します。また、受傷直後の痛みが治まった後にズキズキと疼くような形で痛みが慢性化することもあります。
鎮痛薬以外の対処としては、ケガや打ち身などで生じたばかりの急性の痛みは冷やす、長く続く腰痛などの慢性的な痛みは暖めてあげるなど痛みの時期によって適切な対処が変わるという点でしょう。
2.神経障害性疼痛の対処法
リハビリや手術で神経の絞扼(しめつけ)などの障害の改善を図る、神経に対して効果のある鎮痛薬を服用するなどがあります。
また、痛みのある部分を温めることで、痛みを感じる閾値を上昇させ、痛みを緩和することもできます。
ただし、神経障害性疼痛は感覚の鈍麻なども併発する場合があり、その場合は火傷などに注意が必要です。
3.心因性疼痛の対処法
鎮痛薬の服用の他、ストレス要因の排除や、ストレスへの向き合い方を修正するなどの目的でメンタルクリニックの受診と治療などが挙げられます。
また、根本の改善にはなりませんが、痛みのある部位を温める、マッサージすることなどで虚血状態を改善し、一時的に痛みを緩和することも可能です。
長く続く心因性疼痛の対処には心理的な部分の根本解決と、虚血状態を改善する対処療法の併用が必要です。
対処法にある鎮痛薬(痛み止め)の種類や選び方についてはこちらで記載しております。
ぜひご覧ください。
今回のまとめ
- 痛みとは、身体の不調を教えてくれるサインではあるが、長く続くと大きなストレスになる
- 痛みは大きく分けて3種類、明確な傷などによる侵害受容性疼痛、神経の狭窄などによる神経障害性疼痛、ストレスが原因となる心因性疼痛がある。
- 痛みは種類によって対処法が違う。それぞれに見合った対処を。
鎮痛薬の種類や選び方はこちらのページからどうぞ。
今回の内容は以上でした!
次回はこれらの痛みに対応した鎮痛薬、痛み止めの簡単な解説をしたいと思いますので、今回の内容と合わせて是非お読みください。
天6整形外科では、手術が必要になる前に身体を治す、怪我をしてしまわない身体を作ることをモットーに診療を行っています。
- 肩や腰が少し痛いけど病院にかかる程なのかな?
- しばらく続いている痛みがあるけど、このまま放置していいのかな?
というお悩みをお持ちの方は是非当院にお越しください。
症状が悪化し、日常生活が困難となる前に受診をすることが、早期に回復するために重要です。
簡単なお悩みでも構いません、皆様のご来院をお待ちしております。