骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは?【症状と治療・予防について】
こんにちは、天6整形外科理学療法士の二宮です。
当院にご来院頂いた患者様からはお身体について様々なご相談をお受けしておりますが、今回はその中でも特に相談数の多い「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」について、お話していきたいと思います。
今回の記事では、骨粗鬆症(骨粗しょう症)とはどのような疾患なのか、その症状、治療のほか、予防方法についてもお話していきます。
このコラムを是非参考にしていただき、骨粗鬆症とうまく付き合える様になっていただければと思います。
それでは内容に入っていきましょう。
目次
骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは?
骨粗しょう症という言葉はよく聞きますが、実際にはどのような疾患なのでしょうか?
まずは骨粗しょう症の症状についてみていきましょう。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の症状
骨粗しょう症とは、骨の密度が低下し、骨の質が悪くなることで骨折しやすくなる疾患です。
わかりやすく言えば、骨が中身のないスカスカのスポンジ状のようになってしまうことで脆く弱くなってしまう疾患ということになります。
下の図は正常な骨の中身(左)と、骨粗しょう症の場合の骨の中身(右)です。
画像を見るとわかりやすいですが、健康な骨と比べて、骨粗しょう症の骨は中身がスカスカになっており、ちょっとした刺激で簡単にくしゃっと潰れてしまいそうに見えます。
実際に骨粗しょう症になった場合どれくらい骨折しやすくなるかというと、転倒による骨折はもちろん、骨密度の低下が著しい場合は、ちょっと躓いてしまっただけで骨折してしまったり、酷い場合には勢いよく座った時や、くしゃみをしただけで骨折してしまう場合もあります。
骨粗しょう症を原因とする代表的な骨折としては、大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫といった、股関節や背骨の骨折があります。
これらの骨折をしてしまうと、日常生活で必要な動きが困難になるだけでなく、場合によっては寝たきりになってしまうことがあります。
また、その時は寝たきりにならなかったとしても、一度骨粗しょう症が原因で骨折をしてしまうと、体の動きが悪くなることなどが影響し、再度骨折してしまう危険性が高くなると言われています。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の原因
骨粗しょう症の主な原因としては、閉経後のホルモンバランスの変化の影響があげられます。
閉経後の女性は、卵巣からのエストロゲンという女性ホルモンの分泌が停止します。
卵巣からのエストロゲンの分泌が停止しても、エストロゲン自体は脂肪細胞などからも分泌されるため、体内の分泌自体がなくなってしまうわけではないのですが、それでも体内のエストロゲンの分泌量は閉経前と比較して少なくなります。
このエストロゲンという女性ホルモンは骨の形成を促進する役割があり、エストロゲンの分泌が低下すると、骨がもろく弱くなりやすくなるため、骨粗しょう症の罹患率は女性、特に閉経が始まる50代以降の女性で高くなります。
60代女性では5人に1人、70代女性では3人に1人が骨粗しょう症であるといわれており50代以降の女性は自身が骨粗しょう症になっていないか注意が必要と言えます。
このように骨粗しょう症とは骨がスカスカになることで脆くなり、骨折が生じやすくなる疾患です。
では、次に骨粗しょう症になった場合にどんな骨折が生じやすくなるのかについてお話します。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)が原因の骨折
骨粗しょう症が原因の骨折の代表としては、脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折といった、股関節や背骨の骨折、手首や腕の付け根の骨折があります。これらの骨折は日常生活で必要な動きが困難になるだけでなく、場合によっては寝たきりになってしまうことがあります。
それぞれの骨折について以下に簡単にまとめます
大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部骨折とは、太ももの骨(大腿骨)の脚の付け根に近い部分(大腿骨頸部)が骨折するものです。転倒などで起こりやすく、股関節の痛み、歩行困難が主な症状です。
多くの場合で手術が必要となり、骨折した部分を人工骨(人工骨頭)に置き換える場合もあります。
脊椎圧迫骨折
脊椎が上下方向からの圧刺激(尻もち転倒など)により、圧潰してしまう骨折です。
骨粗鬆症の程度によっては躓いたり、くしゃみをしたりなどちょっとしたことでも生じることもあるため、「いつの間にか骨折」とも呼ばれます。
新鮮な骨折の場合は、骨の圧壊とともに背中が丸まってしまう変形も生じやすいため、コルセットなどの装具療法が選択されます。
橈骨遠位端骨折
手首の骨のうち、前腕の親指側の骨である橈骨(とうこつ)の手首に近い部分(遠位端)が骨折するものです。
転倒時に手をついて受傷するのが最も多く、関節内に骨折が及んでいる場合は手術を、そうでない場合はギプス固定での保存療法を行います。
上腕骨近位端骨折
上腕骨のうち肩周辺の腕の付け根の部分の骨折のことです。
肩周辺には様々な筋肉がついているため、骨折した骨が筋肉に引っ張られてしまいズレやすく(転位)、また、転倒の際に防御的に肩周辺に力が入ってしまうことにより粉砕骨折となりやすい骨折でもあります。
骨折が軽度の場合は保存療法も選択されますが、粉砕が強い場合は手術が必要となり、状態によっては上腕骨の付け根の部分(骨頭)を人工骨に置き換える(人工骨頭)手術が必要となります。
術後のリハビリについても、無理をすると骨がつかない状態である偽関節となってしまうため、動かす範囲を骨の回復具合を見ながら少しずつ広げていく形で慎重に行う必要があるなど、回復に時間を要する骨折と言えます。
これらの骨粗鬆症が原因となる骨折は、日常生活に必要な身体の動きが大きく障害されやすく、そのまま寝たきりになってしまうリスクが非常に高い骨折に分類されます。
また、その時は寝たきりにならなかったとしても、骨折が原因で身体を動かしにくい状態になりやすいため、それが影響して再度骨折してしまう可能性は高くなります。
結果として、これらの骨粗鬆症が原因となる骨折を一度でもしてしまうと、将来的に寝たきりになる可能性が高くなってしまいます。
これらのことから、骨粗しょう症はできるだけ早期に治療および予防をしていく必要があります。
しかし、実際に骨粗しょう症の治療や予防はどのようにするのでしょうか?
次は骨粗しょう症の治療についてお話していきます。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)の予防と実際の治療について
骨粗鬆症の予防方法としては、食事療法や運動療法があり、実際に骨粗鬆症になってしまった場合にはこれに加えて投薬での治療があります。
当院では、骨密度の測定、血液検査での栄養状態の確認などを行い、現状のお身体の状態に合わせて治療を選択していきます。
また、当院には経験豊富な理学療法士も在籍しておりますので、骨折を予防するための動作の指導や、運動をすることで骨の状態を改善する目的での運動療法も行っています。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
骨粗鬆症を予防するための食事療法
骨粗しょう症の予防するための食事としては、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKといった骨を強くすることに関係する栄養素をしっかり摂取することが重要となります。
もちろん、運動習慣付けにおける体型管理をすることも大事です。
とはいったものの、実際に何を食べれば良いかわかりにくいですよね?
以下で簡単に解説します。
カルシウム
カルシウムは骨の材料であり、カルシウムが骨に取り込まれることで新しい骨が作られます。
カルシウムは、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、しそ、ケール、モロヘイヤ、小松菜などの野菜類や海藻などに多く含まれます。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの体内への吸収を促進し、骨密度を増加させる働きをしています。
逆に言えば、ビタミンDが不足すると、カルシウムをとっていても骨を上手く作ることができません。
ビタミンといえば野菜に含まれているイメージがありますが、ビタミンDは野菜ではなく、魚やきのこ類に多く含まれています。
また、ビタミンDは油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分類されるため、脂肪と一緒に取ると吸収がよくなります。
ビタミンDは日光にあたることでも合成されますので、天気の良い日は散歩してみることもおすすめです。
ビタミンK
ビタミンKは骨を作る骨芽細胞という細胞の働きを助け、骨を壊す細胞である破骨細胞の働きを抑制します。
ただし、ビタミンKには血液を固める働きもあるため、血液をサラサラにするワーファリンという薬を飲んでいる方は摂取を避けてください。
ビタミンKは納豆、ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜などに多く含まれています。
骨粗鬆症を予防するための運動療法
運動療法ではウォーキングなど骨の長軸方向(身体の縦方向)に刺激の入る運動を行うことが骨粗しょう症の予防において大切になってきます。
運動といえばジョギングやジムでのトレーニングを思い浮かべる方も多いと思いますが、骨の長軸方向に刺激が入れば大丈夫なので、散歩などで問題ありません。
特に天気が良い日の散歩は日光によるビタミンDの生成も促せるため、骨粗しょう症の予防において最もよい選択と言えます。
もし、体力や、関節痛などの症状で運動が行いにくい場合は、一度当院にてご相談ください。
経験豊富な医師および理学療法士が最も良い方法を、患者様とともに検討、提案いたします。
骨粗鬆症の治療薬について
実際に骨粗鬆症になってしまった場合には、投薬療法が選択されることがあります。
治療薬は、飲み薬と注射薬がありますが、それぞれ週一回だったり、月一回だったり、半年に一回だったりと、内服や投薬のタイミングに特徴があったり、自宅で自己注射するかクリニックに通院し注射するかなど用法にも特徴があったりと、どれを選択するかによりその使用法などが大きく変化します。
具体的な内容については、骨粗鬆症の治療薬についてのコラムがありますので、こちらをご一読ください。
骨粗鬆症はこれらの食事や運動の指導・治療によって、まだ骨粗鬆症になっていない場合はならないようにするための予防を、実際に骨粗しょう症になってしまった場合には骨折をしてしまわないようにしながら、骨密度を改善することを目指します。
食事や運動については、普通に生活しているだけでは気にしない部分も多いかと思いますので、この記事を読んで気になった部分があれば、是非ご自身の生活を振り返っていただければと思います。
では、最後に自分が骨粗しょう症なのかどうか、チェックをしてみましょう。
骨粗鬆症(骨粗しょう症)チェックをしてみましょう
この項では、このページを読んで頂いている貴方自身が骨粗しょう症であるかどうか、簡単にチェックしていただけます。
自分が骨粗しょう症かどうか気になる方はまずは下のチェックシートを実施してみましょう。
さて、点数はいかがでしたでしょうか。
以下に結果を記します。
- 2点以下の方は現状とくに心配ありません。
- 3点以上の方は今後骨が弱くなる可能性があるので、食事習慣など注意してみてください。
- 6点以上ついた方はすでに骨が弱ってきている可能性があります。転倒など注意してください。
- 10点以上ついた方は骨が弱っていると考えられる状態です。当院やその他医療機関にて医師に相談してみる必要があります。
もちろん、このチェックはあくまでも簡易的なものであるため、実際に検査してみないと本当のところはわかりません。
もし、自分が骨粗鬆しょう症なのかどうか、また骨密度がどれくらいであるのか気になる方は是非当院へお越しください。
当院では、よくある超音波での測定(当院の内覧会で簡易的に実施していたものです)ではなく、日本骨粗鬆症学会で推奨されている測定方法であるDEXA法(二重エネルギーX線吸収測定法、DXA法ともいいます)で最新の機器にて実施・測定できます。もちろん保険適応での実施が可能です。
繰り返しにはなりますが、自分が骨粗しょう症なのかどうか、骨密度がどくれくらいなのか気になる方は、是非当院へお越しください。
状態に応じて、食事や運動のアドバイス、必要であれば理学療法士による運動療法の実施をさせていただきます。
それでは最後に記事のまとめに入ります。
まとめ
今回は骨粗鬆症についてその症状、治療、予防などについておおまかにお話しました。
骨粗鬆症は骨がスカスカになり脆くなるために重度の場合はくしゃみをしたり少し躓いただけでも骨折するリスクが高くなります。
運動の習慣づけや生活スタイルの見直し、カルシウムやビタミンD・Kなどを意識した食事の見直しが重要になります。
骨粗しょう症について、食事や運動などをより詳細に記載した記事も以下にご用意しておりますので、是非合わせてお読み下さい。
天神橋筋六丁目、天満、都島、南森町、東淀川区から通いやすいクリニック、天6整形外科では、手術が必要になる前に身体を治す、怪我をしてしまわない身体を作ることをモットーに診療を行っています。
- 骨粗鬆症になっていないか気になる
- 骨密度の測定をしてみたい
- 骨粗鬆症を治療したい
という方は是非当院にお越しください。
実際に問題が大きくなり、日常生活が困難となる前に受診をすることが、早期に回復するために重要です。
簡単なお悩みでも構いません、皆様のご来院をお待ちしております。