【Q&Aコラム】理学療法士ってどんな仕事をする人?

先生に「リハビリで理学療法士の指導を受けてください」と言われました。正直、理学療法士さんが具体的にどんな仕事をする人なのかよく分かりません。
マッサージをしてくれる人ですか?それともスポーツジムのトレーナーのような人でしょうか? 私の膝の痛みに対して、どんなことをしてくれるのか教えてください。

確かに、『理学療法士』という名前からはその仕事内容は想像しにくいですよね。
リハビリテーションにおける理学療法士(Physical Therapist, PT)の役割は、実際にリハビリを受けたことがない人にはあまり知られていませんので、詳しく解説します。
理学療法士は一言で言うと、「動きの専門家」です。
病気や怪我、加齢などによって運動機能が低下した方々に対し、座る、立つ、歩くといった基本的な動作能力を回復・維持させ、日常生活をより快適に送れるように支援する国家資格を持つ専門職です。
単なるマッサージ師やトレーナーではなく、医学的な知識に基づき、痛みのある部位だけでなく全身を評価し、個々に合った運動療法や物理療法(電気、温熱など)を行います。
もう少し詳しく解説
理学療法士が具体的に行うことと、リハビリテーションを受けることで得られる効果について解説します。
1. 理学療法士が行う具体的なアプローチ
理学療法士の仕事は様々なものがありますが、当院のような整形外科クリニックでの主な役割は以下の通りです。
- 動作分析と評価
- 患者さんの「歩き方」「立ち方」「姿勢」といった動きの癖を詳細に観察し、痛みの原因がどこにあるのかを特定します。
膝の痛みの原因が、実は股関節や足首の動かし方にあるといった発見が得られる場合も多くあります。
- 患者さんの「歩き方」「立ち方」「姿勢」といった動きの癖を詳細に観察し、痛みの原因がどこにあるのかを特定します。
- 運動療法
- 筋力の低下やバランスの悪さを改善するための筋力トレーニングや、関節の硬さを取るためのストレッチを指導し、「正しい体の使い方」の学習を図ります。
- 徒手療法・物理療法
- 手技による関節や筋肉へのアプローチ(徒手療法)や、電気治療、温熱療法など(物理療法)を組み合わせ、痛みや動きの改善を目指します。
2. リハビリテーションを受けることのメリット
膝の治療を例にとると、リハビリテーションを受けることには次のような大きなメリットがあります。
- 痛みの軽減: 膝に負担をかけている「間違った体の使い方」を改善することで、根本的に痛みを減らすことができます。
- 再発の予防: 筋肉のバランスを整え、正しい動作を身につけることで、怪我や痛みの再発を防ぐことができます。
- 手術の回避や回復促進: 変形性関節症などにおいて、リハビリで機能を改善することで今以上の悪化を防いだり、今の身体の状態で負担をかけない方法を身につけることで、手術を回避できる可能性が増えます。また、手術後のリハビリは回復を早めるために不可欠です。
3. リハビリを受ける際に意識してほしいこと
当院に限らず、リハビリを受ける際に患者様に意識してほしいことが数点あるので、合わせて記載します。
- 主体性を持つこと: リハビリの場で教わったセルフケアや意識してほしい部分などは、ご自宅で毎日継続して行うことが重要です。リハビリ中だけでなく、主体的にセルフケアは行っていきましょう。
- 避けるべきこと: 痛みがあるのに無理をして運動をしたり、「運動量が足りないかも」と自己判断で負荷を増やすのは危険です。必ず理学療法士と相談して運動量を調整してください。
理学療法士は、「動きの専門家」として、患者さんの基本的な動作能力を回復・維持させる仕事です。
単に痛い部分を揉むというのではなく、全身の動きを評価し、患者さんの目標(例:杖なしで歩きたい、孫と遊びたい)を達成のために日々働いています。
身体のことでお悩みの患者様は、ぜひ、理学療法士とともに、快適な生活を取り戻すためのリハビリに取り組んでください。
天神橋筋六丁目、天満、都島、南森町、東淀川区から通いやすいクリニック、天6整形外科では、手術が必要になる前に身体を治す、怪我をしてしまわない身体を作ることをモットーに診療を行っています。
上記の質問・疑問以外にも気になる事があれば、診察やリハビリの際にお気軽にお申し付け下さい。