【Q&Aコラム】子供の腕を急に引っ張るのはNG?「肘内障(ちゅうないしょう)」の原因と正しい対処法
当院の患者様から実際にいただいた、代表的なご質問をご紹介します。
※リスク・副作用、施術内容はコラム投稿時点での情報となります。最新の情報はクリニックへお問い合わせください。

3歳の子供が道路に飛び出しそうになった時、とっさに腕を強く引っ張ってしまいました。
幸い怪我はなかったのですが、ママ友から「子供の腕を強く引っ張ると腕が抜けるから危ないよ」と聞きました。
たまに両手を持ってぶら下げるような遊びもしてしまうのですが、本当に腕が抜けてしまうことってあるのでしょうか?

毎日のお子さんから目を離せない育児、本当にお疲れ様です。危険から守るために、とっさに腕を引っ張ってしまうのは親として当然の行動ですよね。
結論からお伝えしますと、小さなお子さんの腕を強く引っ張ると、肘の関節が外れかかる「肘内障(ちゅうないしょう)」というケガをしてしまうことがあります。
これは一般的に「子供の腕が抜けた」と言われる状態です。
非常に痛がって腕を動かさなくなりますが、正しい処置をすればすぐに動かせるようになりますので、安心してください。
もう少し詳しく解説
なぜ子供の腕は簡単に「抜けて」しまうのか、そのメカニズムと、もしもの時の正しい対処法についてわかりやすく解説していきます。
痛みの原因は「靭帯(スジ)のズレ」
回答では、「肘の関節が外れかかる」と「脱臼」かのような説明をしましたが実は少し違います。
正確には、肘内障は、肩が外れる「脱臼」とは違って、肘の関節を束ねている輪っか状の靭帯(輪状靭帯)から、骨(橈骨頭)が抜けかかってズレてしまった状態(亜脱臼)を指します。
1歳から5歳くらいまでの子供は、骨や靭帯がまだ未発達で柔らかく、関節の構造が「ゆるい」状態です。
そのため、大人なら何でもない強さで引っ張られただけでも、簡単に靭帯がズレてしまうことがあります。
小学校に上がる頃には骨の形がしっかり完成し、靭帯も強靭になるため、引っ張られても腕が抜けることはほぼなくなります。
「手をつないでジャンプ」も要注意!

肘内障は、とっさに引っ張った時だけでなく、日常の何気ない動作や遊びの中でも起こります。
- よくある発生のタイミング
- 親と手をつないで歩いていて、子供が急に転んだとき
- 両手を持って「高い高い」や「ぶら下がり遊び」をしたとき
- 服を脱がせようとして、腕を無理に引っ張ったとき
- 症状のサイン
急に火がついたように泣き出し、腕をだらんと下げたまま、痛いほうの腕を全く動かそうとしなくなります。 バンザイができない、おもちゃを差し出しても痛い方の手で取ろうとしない場合は、肘内障の可能性が高いです。
ご家庭でのNG行動と受診の目安
もしお子さんが腕を痛がって泣き止まない時、ご家庭で気をつけていただきたいポイントがあります。
- 絶対に自分でハメようとしないでください
「引っ張って抜けたなら、押し込めば直るかも」と素人判断で腕を捻ったり動かしたりするのは大変危険なNG行動です。実は肘内障ではなく、鎖骨や肘の「骨折」が隠れているケースもあり、無理に動かすと悪化してしまいます。
- そのままの姿勢で、すぐに整形外科へ
お子さんが一番楽な姿勢(多くは肘を軽く曲げた状態)のまま、すぐに整形外科を受診してください。整形外科医であれば、数秒で「コクッ」と正しい位置に戻すこと(徒手整復)ができます。正しい位置に戻れば、ケロリと泣き止んで元気に腕を動かせるようになります。
子供の腕が抜けてしまう「肘内障」は、関節が未発達な時期特有のトラブルです。
危険から守るために腕を引っ張ってしまい、結果的に肘内障になってしまったとしても、どうかご自身を責めないでくださいね。
もし腕をだらんとさせて泣き止まない時は、無理に触らず、慌てずに整形外科を受診して下さい。
天神橋筋六丁目、天満、都島、南森町、東淀川区から通いやすいクリニック、天6整形外科では、手術が必要になる前に身体を治す、怪我をしてしまわない身体を作ることをモットーに診療を行っています。
上記の質問・疑問以外にも気になる事があれば、診察やリハビリの際にお気軽にお申し付け下さい。
●このコラムを書いた人

二宮 暉
患者様に合わせたリハビリテーションを実施し、日常生活におけるアドバイス、運動の指導を行い、一人ひとりに寄り添った治療を提供します。
また、当院のコラムを通して、より患者様の生活の質を向上させるような情報を発信していきます。
●得意分野
肩関節疾患(保存療法・術後)、投球障害(肩・肘)、トレーニング指導
記事監修:久保 卓也