むちうち (頸椎捻挫・外傷性頸部症候群)とは?

数日前に車を運転中、後ろから追突されました。
その日は何ともなかったのですが、翌日の朝から首の後ろから肩にかけてパンパンに張って、重だるい痛みが出てきました。
首を回すのも辛くて、たまに頭痛や吐き気もします。
救急病院のレントゲンでは『骨には異常なし』と言われたのですが、これは一体何なんでしょうか?

お話しいただいた「事故直後は平気だったのに、翌日など後からやってくる首の痛みや不調」は、交通事故で非常に多く見られる『むちうち(頸椎捻挫・外傷性頸部症候群)』の典型的な症状です。
お伺いしたお悩みのように、事故のあとに以下のような症状を感じてはいませんか?
- 首が痛くて、後ろを振り向いたり上を向いたりするのがつらい
- 首だけでなく、背中や肩甲骨の周りまで重だるく痛む
- 頭痛やめまい、吐き気、または手や腕にシビレを感じる
「骨に異常がないのに痛いなんて…」と不安に思われるかもしれませんが、決して気のせいではありませんのでご安心くださいね。
なぜ痛むの?むちうちの原因

骨が折れているわけでもないのに、どうして頭痛や吐き気まで起きるほど痛むのでしょうか?

それは、事故の強い衝撃で重たい頭が揺さぶられ、首がムチのように激しく前後にしなってしまったからです。
首の周りの筋肉やスジ(靭帯)、神経が引き伸ばされて、見えないダメージを受けているんですよ。
事故の瞬間、体重の約10%もあると言われる「重たい頭」を支えている細い首には、非常に大きな力がかかり、首の筋肉や靭帯、神経などに大きな負荷がかかります。
首の周りには自律神経も密集しているため、これらにダメージを受けると頭痛、めまい、吐き気といった全身の不調(自律神経症状)が引き起こされる場合があります。
しかし、レントゲンは「骨」の状態を見る検査なので、筋肉や靭帯の断裂、神経のダメージなどは写らず、「骨には異常なし」という診断となります。
こんなに痛いのに「異常なし」なんてと感じる方も居られるかもしれませんが、この異常なしという言葉は、首の骨折などといった命に関わるような異常はないという意味であるとお考えください。
その後必要に応じてレントゲンで見ることのできない筋肉や靭帯、神経の状態の確認のためのMRIなどの検査を案内することもありますので、気になる場合は受診の際にお気軽にお尋ね下さい。
むちうちのご家庭での対処法・注意点

事故の後から首周りがガチガチに固まっていて辛いので、自分で揉んだり、お風呂で温めてストレッチしたりしても良いですか?

事故から数日間の痛みが強い時期(急性期)は、無理に動かしたり、強くマッサージしたりするのはおすすめしません。
かえって症状を悪化させる可能性が高いです。
事故で痛めた直後の首は、強い炎症が起きている状態です。
その状態で温めたり揉んだりすると血流が良くなりすぎ、炎症がさらに強くなる可能性があります。
まずは一番楽な姿勢で安静に過ごすことが最優先です。
入浴も湯船に入ることは避け、サッとシャワーを浴びる程度にしておくことをおすすめします。
痛みが少し落ち着いてきたら、過度な安静は避け、痛みの無い範囲で動かしたりストレッチをしたりしながら、徐々に普段通りの生活に戻していくことが回復への近道です。
自己判断でいきなり痛みの強いストレッチを行うことはお控え下さい。
むちうちの治療について

病院ではどんな治療をしてくれるのでしょうか?後遺症が残らないかとても不安です……。

お薬の処方や電気治療(物理療法)など、今のつらい痛みを取る治療や、理学療法士によるリハビリなどにより極力後遺症を残さず、スムーズに元の生活に戻れるように、段階に合わせて治療を進めていきます。
事故後の痛みは長く続いてしまいやすいですが、状態に合わせてしっかりとサポートさせていただきます。
痛みが強い初期段階では、首を固定するカラー(装具)を用いたりして安静を保ち、炎症を抑える飲み薬や湿布、アイシングでまずは「痛みを鎮める」ことを最優先にします。
その後、炎症が落ち着いてきたタイミングを見計らい、理学療法士の指導のもとで首や肩の筋肉の緊張をほぐし、正しい動き・元の生活を取り戻すためのリハビリテーションを開始します。
交通事故によるむちうち治療は、自賠責保険が適用されるケースがほとんどです。
治療のことだけでなく、保険の手続きなどで分からないことがあればお気軽にご相談ください。
院長より
むちうちは、「軽い事故だったから」「そのうち治るだろう」と思いがちですが、何ヶ月、あるいは何年も痛みや頭痛といった後遺症に悩まされる危険性があります。
事故直後は様々な対応に追われてご自身のことは後回しになりがちですが、まずはご自身の体を一番に大切にしてください。
少しでも首に違和感や不調を感じたら、できるだけ当院までご相談にいらしてくださいね。